ガンズ社は、地球上で最も特異な太古の原生林・老生林を、一日平均でサッカー場44個 分相当も皆伐(対象地の樹木を全て伐採)し、収穫の後、焼き払っています。この森には巨大ユーカリ群(世界一高い樹高の広葉樹)や「世界遺産」級と評価さ れる森が含まれています。同社の伐採方法は世界的に見ても最低のものであり、伐採する森林の90%以上を木材チップ(パルプ材)にしています。そのほとんどは紙製品として廃棄されるのです。現在、ガンズ社は、パルプ工場の建設によって、森林破壊を倍にする準備を整えている。ベル湾に設置されることになるパルプ工場は、年間に450万トンまで木材チップを消費することができます。ガンズ社は、現在、年間、約400万トン程度の木材チップ輸出を行っています。この工場建設は、年間にざっと800万トンの木材チップを作り出すのに十分な木々を供給するために、タスマニアの天然林の皆伐を増加してしまうでしょう。

タスマニアの「絶滅に瀕した森」を、さらに破壊し続けているガンズ社

地球全体 では80%以上の原生林・老生林の森が破壊されてしまいました。タスマニアでは、森林全体では、原初の森のうちの約24%、セイタカユーカリの原初の森(世界一背の高い広 葉樹)では14%が、「原生林」として認められ、現存しているに過ぎません。それらは、スティックスの「巨木の渓谷」、豪州最大の温帯雨林地域「ターカイン」などに現存しています。

絶滅の危機にさらされているにもかかわらず、これらの天然老生林の大部分は保護されて いないままで、現在、前代未聞のスピードで伐採が進んでいます。ガンズ社は豪州最大の「天然林」伐採会社であり、世界最大の広葉樹チップ会社です。タスマ ニアの原生林・老生林の破壊を進めている元凶であり、木材チップ伐採産業としては実質上の独占企業です。年間平均2万ヘクタールの天然林が皆伐され、その 後、石油を使った火炎弾で燃やし尽くされます。これら地域の3分の2が生態学的に不毛な植林地へと転換されるのです。しかも伐採された木の90%は木材 チップとなるのです。

さらに、政府の設置した 「地域森林協定」(Regional Forest Agreement, RFA)に より、ガンズ社は豪州政府および州政府の双方から特別の法的免除を受け、法的に保護されながら、先進諸国ではもはや見られなくなったような、伐採方法を敢 行しています。国連の「世界遺産」局が永久に保存すべきと認めた「手つかずの原生林」地域を、日々、伐採の対象としているのです。たとえば、同社には「環 境インパクト・ステートメント」(文書)の提出すら課せられていません。ガンズ社は伐採する森を、ただ同然の価格で入手し、RFAのおかげで豪州の法的義務を回避できることで、巨額の富を手にしています。

地域森林協定への科学者からの批判声明

2004年7月7日 憂慮する豪州科学者による声明

タスマニアの森林について変革を支持する声明

 州及び連邦政府が1992年に調印した国家森林政策で明記されている環境、原生自然、遺産的価値の保護の実現において、タスマニア地域森林協定(RFA)は失敗していると多くの科学者たちが認識している。

 タスマニアの地域森林協定(RFA)における科学的プロセスは、政治的譲歩により圧倒されてしまった。森林保護のために確立された基準は、完全には適用されなかった。もしも森林保護のための基準が適用されていれば、保護地区となっていたであろう保護価値の高い森林が広範囲に存在している。

 原生林の伐採と植林への転換は、RFA合意以降の7年間で活発化し、産出された木材チップの輸出はすでに記録的な量に上っている。また(広範囲にわたって広がる伐採されていないが、保護対象外のセイタカユーカリの樹高の高い疎林によって例示されるように)、保護システムが全く不適当であると共に、この植林転換により、本来存在する景観価値は減少してしまって、大きく改変された森林景観が生み出されている。

 今まさに、森林の保護地システムの改善、および景観価値の適切な保護のために、オーストラリア政府の介入が必要となっている。原生林の植林への転換は、非常に望ましくないものであり、また、RFA、国家植林政策、森林管理協議会(FSC)、オーストラリア林業規格の考え方に反するものである。

 タスマニアの豊かな森林生態系における大規模な変化にかんがみて、全ての保護価値の高い森林(HCVF)を含められるよう保護システムは、広く拡大されるべきであると信じる。

英語の原文は、こちらを参照

署名者リスト
Dr Sahrah Bekessy, School of Social Science and Planning, RMIT University, Melbourne
Professor Tim Bonyhady FAAH,FSSA, Director, Australian Centre for Environmental Law, The Australian National University
Professor Mark Burgman, Environmental Science, The School of Botany, The University of Melbourne.
Professor Richard J. Hobbs FAAS, Deputy Head, School of Environmental Science, Murdoch University.
Professor Peter Kershaw, Head of the School of Geography and Environmental Science, Monash University.
Professor Jamie B. Kirkpatrick AM, Head of School, School of Geography & Environmental Studies, University of Tasmania. (to confirm given final version of statement)
Dr Peter McQuillan, Centre for Environmental Studies, School of Geography & Environmental Studies, University of Tasmania.
Professor Tony Norton, Head, Geospatial Science, RMIT University.
Professor Harry Recher AM, Emeritus Professor, Edith Cowan University.
Dr. Debbie Bird Rose, Senior Fellow, Centre for Resource and Environmental Studies, The Australian National University.
Dr Libby Robin, Fellow, Centre for Resource and Environmental Studies, The Australian National University.

Jamie Kirkpatrick教授による声明
1. タスマニア地域森林協定(RFA)は、科学的なプロセスではありませんでした。それはタスマニア州とオーストラリア連邦政府の官僚間での交渉により、取り決められた政治的な決定でした。木材生産のために妥協させられており、森林保全のための科学的な規準は十分には適用されませんでした。
2. 広大な天然林、原生林や、その他の森林地域があり、もしもRFAの森林保全規準に柔軟性条項が付け足されなければ、保護されたでしょう。それらには、ほぼ確実に、スティックス峡谷の広大なセイタカユーカリの高木の原生林地域が含まれていたでしょう。もしもRFAの保護目標が満たされていれば、この地域は完全に、あるいはほぼ保護されていたでしょう。
3. その景観的価値(美しさ、手付かずの自然、傑出した自然現象)のために、保護されなければならないが、保護されていない広大なタスマニアの天然林地域が存在します。これらは、スティックス渓谷のような伐採されていないセイタカユーカリや、ターカインのパイプライン回廊のレインフォレストの残存地域があります。
4. 原生林が植林地へと土地転換されることは、極めて望ましくないことで、それは、地域森林協定(RFA)や、国家植林政策(National Plantation Policy)の精神からは外れています。タスマニアでは、1997年以来、1万1千haのセイタカユーカリ林を含めて、全湿潤ユーカリ林の3万5千haが皆伐され、また、皆伐を承認されています(2002/2003年までのForest Practices Boardデータ)。こうした皆伐のほぼ全てが植林のためです。

ピーター・マクィラン博士の声明

 生物多様性についての体系的な調査の欠如のために、スティックス渓谷の生態学的価値についての鑑定は、骨抜きにされています。
 スティックス渓谷の生物多様性価値は、少なくとも、フィールド山国立公園のような近隣の森林と同等のものでしょう。これらの森林は、多様な群落に配置された固有種の多く生息していることを含めて、傑出した生物多様性を持っているのです。
 現在の植物群落の多様性や規模を考えると、スティックスは、ほぼ野生種の蛾が1000種、甲虫類だけでたぶん1500以上の種の生息地となっていると考えられます。
 スティックスの森林には、全世界の現代ゼミの祖先となる鳴かないタスマニアのセミである、太古の毛ゼミ(Hairy Cicada)のような特異な種の個体群が含まれています。このセミについてのウィールズ大学のClaridge教授による最近の調査は、アジアのいくつかの主要なコメの害虫の習性について理解する上で重要な手がかりとなりました。
 海抜200m以下から高山地域への広い範囲を代表する広範囲の生息地が、この地域の生物多様性を増進し、生存の可能性を改善して、気候変動に応して彼らの生息地の分布を調整することができるようなルートとして特別な価値を持っているのです。
 より広い地域にはより多くの種が生息し、より広い地域は種の消失に対してより頑強であるという効果を通じて、世界遺産地域にスティクス渓谷が隣接していることで、双方の地域の保護価値を補強しあっているのです。

(『Protecting Forests, Growing Jobs』(August 2004)のAttachment Dより)

 

豪州で最も貪欲な伐採会社

ガンズ社は 豪州最大の天然林伐採会社であり、広葉樹の木材チップ会社としては世界最大規模の企業です。同時にタスマニア州最大規模の民間会社でもあります。伐採業のほかに、金物店、ふどう畑・ワイン製造業、土地開発業などに従事しています。

タスマニアで伐採される木材の中で製材所と木材チップ工場に向かう木材の圧倒的量をガンズ社が受け取っています。タスマニアにある4つの輸出用木材チップ工場は、すべてガンズ社が所有しています。過去約4年のうち、同社がタスマニアから輸出した木材チップの総量は、他の州を合計した量をしのいでいます。毎年、約400万トン程度の天然林木材チップを同社は輸出しています。同社には西オーストラリアにも工場があります。タスマニア州のユーカリ製材場のうち、3分の2以上は同社のものです。ユーカリー・ベニア工場の主要2工場は同社の所有です。

ガンズ社は、ターカイン温帯雨林、スティックス渓谷、サウス・ウェスト原野、ノース・イースト高地などの原生林を破壊している元凶です。

同社はまた、その私有林において、温帯雨林を含む天然林を何千ヘクタールと伐採してきました。伐採の後には、これらの森は植林地に転換されるのです(1998年から2005年までの間に、6800ヘクタール以上の森林が、そのために伐採されました)。

ガンズ社のウェッブサイト: http://www.GUNNS.com/au

 

ガンズ社の役員

ガンズ社の役員には著しい問題を抱えた人物が複数います。以下、一例をあげます。:  

ロビン・グレイ氏 –元タスマニア州知事。州知事任期中に、フランクリン川のダム建設計画を推進した張本人。これは豪州最大規模の環境問題に発展し、それゆえ、環境破壊派の「悪漢」政治家として知られるようになりました。〔ダム建設は環境派が勝利し、1983年に撤回となりました〕。また、同氏は大規模なクラフト紙工場を作るために、現在「世界遺産」指定を受けている原生林地域の伐採計画を推進しようとしました(これは、1989年に中止となりました)。1989年に議会の贈賄スキャンダルの調査委員会「カーター・ロイヤル委員会」が設置されましたが、同氏はこの調査の中で「人をだます」「不正直な」人物として、厳しい批判を受けました。

デヴィッド・マクエスティン氏 - 同氏は1989年の議会贈賄スキャンダル事件において起訴され、有罪判決を受けました。その後、その判決は最高裁により無効とされました。同氏は、また「カーター・ロイヤル委員会」で、厳しい非難を受けました。

他の役員には以下が含まれます。:R. Holyman C.A. van der Kley C.J. Newman

 

■タスマニア州政権与党の労働党とガンズ社に関する証言

 オーストラリア労働党(Australian Labour Party: ALP)の前リーダーであったマーク・レイサム氏は、Crikey.com の質問者からの問いに対して、2005年10月7日に以下のように労働党とガンズ社の関係について答えている。原文は、こちら


「ガンズ社は、オーストラリア労働党にとって重要な寄付者であり、そして、彼らは哀れな林業労働組合と非常に近い関係にある。マイケル・オコナーとその労働組合が保守党政権に身売りし、前回の選挙戦でハワード首相と抱擁したように、労働党(ALP)は数年前に林産物を牛耳るボスに魂を売ってしまったんだ。これはタスマニアの政策を動かしている私的縁故や裏取引~労働と資本の癒着、労働党と自由党の癒着~を伴った古いコーポラティズム(corporatism)だ。
 私の日記には、ガンズ社をレノン政権内での役割をうまく反映させて~新たなHydro(政府との結びつきの強いダム公団)として描いた。
 レノン州知事はガンズ社社長のジョン・ゲイとの親しい友人だ。労働党内部において、林業労働組合は主要なプレーヤーで、マーティン・ファーガソンの権力基盤や、彼の多くの右派系労働組合との党派取引に不可欠なのだ。
 この影響力の網の目が意味することは、その木材企業が多くの主要な労働党幹部に対して重大な力を行使しているということだ。ガンズ社の話になると、彼らは完全にビクビクして怯えてしまっている。タスマニアの林業ほど、オーストラリア労働運動の倫理の衰退や、政治的汚職を示す政治課題はない。」

●登場人物:
マーク・レイサム(Mark Latham)氏:労働党の前リーダー。暴露本の日記The Latham Diariesを2005年9月30出版。

ジョン・ゲイ(John Gay)氏:ガンズ社の社長
・ポール・レノン(Paul Lennon)氏:タスマニア州知事(労働党)
・マイケル・オコナー(Michael O’Connor)氏:労働組合会議代表として、森林認証制度であるオーストラリア林業規格(AFS)の運営委員会(Steering Committee)、技術関係委員会(Technical Reference Committee)にも参加。
マーティン・ファーガソン(Martin Ferguson)氏:労働党下院議員
・ジョン・ハワード氏:オーストラリア連邦首相(自由党)